新宿伊勢丹抽出レシピその①~濃厚アイスオレ編~

『自分の趣味の業界内で流行していることは、世間一般で有名だと思いがち』


先月末、無事に新宿伊勢丹「イセパン」を終えることができました。ご来場の皆様本当にありがとうございます。
新宿は定期区間内なこともあり学生時代から馴染み深い所でしたが、まさか自分がコーヒー屋としてこの街に関わるとは思ってもみませんでした。

都庁をはじめ高層ビルだらけの西口
闇市の名残り漂うゴールデン街・思い出横丁
四季折々の風景を見せる新宿御苑
サブカルチャーの発信地ミニシアター
ブレードランナーじみたネオンに酔いそうになる歌舞伎町
そして今回の舞台である堅牢なアール・デコ建築の新宿伊勢丹

眠らない街・新宿の早朝は誰よりも不景気で、夜はどこよりも陽気。  アソビニキテネ!
誰でも何でも受け入れてくれる懐の広さをもつ、そんな新宿が僕は大好きです。

さて、今日は新宿伊勢丹仕様のレシピでしたね。長くなるかもしれないので以下目次。今回は会場でも好評だった濃厚アイスオレとアイスコーヒーのレシピです。その他の喫茶レシピはまた次回の記事で。
〈きょうのめにゅ〜〉
①普段行っている抽出の留意点 小島ver
 温度、注ぎ方など簡単に。
②伊勢丹のコーヒー濃度
 今回は試飲、喫茶、テイクアウトの3種類を出したのですが、微妙に濃さが違うのです。
③コーヒー屋さんの濃厚アイスオレとアイスコーヒーのレシピ
 何パターンも作ったのでお好きなものを。器具さえあれば誰でもできます。大勢いる場で振る舞えば人気者になれます、たぶん。

①普段の抽出について簡単に
湯温は約90℃です。普段、やかんや電気ケトルから直接抽出する人は、沸騰した後に蓋を開けて3〜4分待つとよいでしょう(もちろん室温、湯量によって変わりますが…)。豆の焙煎度合によって温度の耐久力は差がありますが90℃ならばオールマイティーに使えます。
注ぎ方は下の画像のようにお湯をねじらずまっすぐ下へ落とします。

よくコーヒーの本で何回かに分けてお湯を注ぐ際、「最初細め後半太め、特に大容量を抽出するときは手早く注ぐこと」と書かれています。確かにその通りなのですが、自分の場合はよく注いでいる“途中で”湯の太さをコントロールします。
例えば、2投目やや細め→細め、3投目太め→やや太めなどなど。ドリッパー内の湯量と経過時間を見て調節ですね。

後は湯を粉の上にのせて重力と浸透圧で、粉からおいしい成分をら引っ張り出すイメージです。大げさな言い方をすれば、注ぎ口を地面と平行にして粉面近くに持っていくと「湯を置く」感覚がつかめるかもしれません。
うーん他には粉から出た泡を持ち上げるイメージで湯を注ぐなどでしょうか?(ただしこれを意識しすぎると注ぎ口を大きく上下に操作しすぎて湯温が変化する、粉が撹拌されるなどといった弊害もあり)

※同じハリオV60(円すい型ドリッパー)を使用している人でもお湯のコントロール法は様々です。
現に僕も大容量、2つ同時抽出、柔らかい豆、一部深煎りの抽出後半…などを淹れる時には、湯を勢いよくたっぷり使うことが多いです。

最後に意外と大事な姿勢について。膝から下を伸ばし、脊柱起立筋を立て胸を起こし、頭のてっぺんが天に軽く引っ張られ、重心はおへその少し下のイメージ…つまり背筋をまっすぐにということですよ笑
狭い場所やテーブルの高さが合わなかったりすると猫背にならざるをえないかもしれませんが、正しい姿勢を覚えておいて損はありません。
後はポットを持つ手首。内側に外側に曲げすぎると疲れます、自然体にしましょう。
僕は体のコンディションが優れていないとよく手足の震えなどややこしい症状が出るのですが、そういった場合はポットを持つ手首の下をもう片方の手で支えるといいですね。
とても安定するので重いポットを扱うときにでも挑戦してみてください。

オカシイ、5行ぐらいで終える予定だったのに

②伊勢丹の濃度
以前書いたように、浅煎りはスッキリとした酸味のために薄め、深煎りは苦みのために濃いめで淹れます。また、飲む量が少なくなるほど満足感を得られるように濃い液体を作ります。例えばエスプレッソやデミタスカップで飲む深煎りなどは濃いですよね?
故に試飲で出す浅煎りはやや濃いめ。そして今回の催事のカップ&ソーサーが小さかったのでこれまたやや濃い(これはまた次回にでも)。

イメージとしては…
深煎り=深、中煎り=中、浅煎り=浅
オレベース、アイスコーヒー(brix3.0%)>喫茶深(brix2.0%)>
喫茶中≧試飲深、持ち帰り深≧喫茶浅、試飲中・浅、持ち帰り中>持ち帰り浅

細かすぎますねえ。しかし、誰が淹れても大体こうなるようにレシピを作ったつもりです。当日も色々変更して他のスタッフに迷惑をかけてしまいましたが!
ポイントは濃くてもフレーバーがつぶれていないか、そして試飲の濃度差です。
「深>浅・中」はあまり差をつけすぎてもいけません。なぜなら喫茶の深煎りを試飲に回すと味の違い以前に濃度差の方へ注意が向いてしまうため、これでは飲み比べのコンセプトから外れてしまいます。

③濃厚アイスオレとアイスコーヒー
作る液体は同じです。なのでアイス・ホットオレ、アイスコーヒーの3つは同時に注文が来ても捌けるのです。
〇オレ
1.できた液体をサーバーごと氷水で満たしたボウルの中に沈める
2.マドラーや箸で素早く液体をかき回し急冷
3.冷えたらオレ1、牛乳2の割合で混ぜて出来上がり
※ホットオレの場合はコーヒーを急冷せずに温めた牛乳と同じように混ぜる
※氷水の水位は、サーバー内のコーヒーより高い方が効率よく冷やせる
※コーヒーの量が多すぎると冷却に時間がかかる。一度の抽出で済ませたいのであればボウルとサーバーを2つ用意し、注ぎ分けて冷却という手もある。

〇アイスコーヒー
1.できた液体を氷たっぷりのグラスに注ぐ
2.よく混ぜて冷えたら完成
※氷入りカップの上にドリッパーをのせて直接抽出する方法もある
※オレは氷で外から冷やす、アイスコーヒーは氷を液体に溶かす

〇ベースの作り方
薄いとオレの味がぼやけ、濃すぎると牛乳の甘さがなくなります。
具体的に言えば、前回紹介したアタゴの濃度計で2.9~3.1%(つまり理想は3.0%)を狙います。そして今日のレシピなら誰でも作れます。せっかくなので何パターンか紹介しましょうか。
ドリッパーはハリオV60、湯温は90℃、メッシュはナイスカットミルの3番
これぐらい。4番がホットコーヒーのハンドドリップ、3.5番が水道水など味が出づらい時のホットコーヒー、2.5~3がコーヒーゼリーのイメージ。
立川の時と同じ注ぎ切りレシピです。記載された重量は全て湯量で最後は液体を落とし切る。

~同時淹れ、少量レシピ~
18g
25cc(むらし、注ぎ始めから40秒後に2投目)
35 → 60
50 → 110
50 → 160(30秒後~ぐらいにドリッパーを取り外して完成)

以下、2投で済ます便利レシピ。15秒間に50ccずつ注ぎ増やすペースで抽出します
~コジマ式・親の仇濃厚オレベース超絶簡単レシピ~
23g
40(むらし、注ぎ始めから40秒後に2投目) → 190

36g
50 → 310

44g
90~100 → 400

50g
90~100 → 450

※徐々にドリッパー内の水位が上がり、とてもいい仕上がりになります。36gぐらいから蒸らし分を注ぐのに時間がかかり始めるので40秒ではなく45~50秒とっても大丈夫です。個人的には15秒50ccを足し算していく計算がしやすい45秒をオススメします。
※36gぐらいからドリッパーは1サイズ大きいハリオV60 02の方が抽出しやすいです。サーバーはどのレシピでも01に入りきります(50gレシピはマドラーでかき混ぜることを考えるとギリギリ)。
※50ccが分かりづらい場合は家の計量カップでチェックしてみて下さい。重さをはかるキッチンスケールは1000円前後で購入可能です。タイマー付きのコーヒー専用ドリップスケールは2000円ぐらいから買えます。安く済ませるのであればキッチンスケールとストップウォッチをセットで使うのがいいでしょう。


ちょっと小島氏、先ほどからいい加減なこと言っているのではありませんか?
と思われても悲しいので23gレシピに挑戦してみました。



デデン


「2.96」合格圏内ですね。ベロンベロンに酒を摂取してグデングデンになりながら挑戦したので、みなさんなら3.0を出せると思います。

p.s.
横浜イングリッシュガーデンに行ってきました。みなさんはどこで紫陽花を見に行きますか?

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