微粉の少ないコーヒーミル選手権
『先日、ミルで遊んだ結果のメモ。写真が多いです。長いです。<結果>とまとめたところだけ読めば大丈夫です』
<今日の実験>
豆を挽いた際に出る微粉の量は、電動と手動でどれだけの差があるのか?
<目的>
微粉が増えるにしたがって粉の表面積も大きくなる。
抽出時、お湯に接する面積が増えるため、過剰な抽出になり結果えぐみなどのネガティブな味の要素が出る。
では、微粉の少ないコーヒーミルを選択すればよりクリーンな味わいを作れるのではないだろうか。
あくまで有名商品の性能って実際どうなの?という回であって電動と手挽きの優劣をつけることが目的ではありません。
<選手入場>
左から
・カリタ クラシックミル
手挽きミル代表として選出。家電量販店で買うと安い。
ホッパーは飛び散り防止の蓋付き(安価な手挽きミルは歯のキレ味が悪いので、挽いている時に豆が飛び散る。コーヒーを趣味にするには豆から!な人が面倒になり挫折する要因の一つ。)で、刃の出来もよい。
土台が大きく手で押さえつけやすい。粉受けの容量も大きい。手で叩いて粉を掃除するようなやり方でも壊れない。つまりコスパ高し。一時期、小島は自宅、バイト先、地理学研究会の部室、ボディビルの部室で計4台所持していた。
・カリタ ナイスカットG
中の刃の様子(カット式)。刷毛で簡単に掃除ができる。
ナイスカットミルの後継機。摩擦熱軽減のためにモーターの回転速度が遅くなった。個人的には工場並みの大容量やエスプレッソの極細挽きでないのであれば、摩擦熱が粉に与える影響は低いのではないかと感じる。粉受けのロゴから溢れる牛乳屋っぽさ。本体のカラーリングもどことなく牛乳。挽いた後のチャフや微粉が目立つので、掃除が面倒な人はシルバーがおすすめ。車選びと同じですよ。
・富士珈機 みるっこ
中の刃の様子(臼式)。カットGよりも溝が鋭角。刷毛よりも歯ブラシでの掃除が楽
付属品の粉受けは静電気が強く使いづらいのでラテアートの練習用に買ったピッチャーを代用。
本体は重い、両手が必要。ハンドドリップの場合抽出スピードが多少遅くてもエグミが出づらい(=微粉が少ない?)。挽く時はストッパーを開け閉めし続けないとホッパーに豆が1粒残る場合がある。今回の中では一番高い商品。家庭用ミルの最上級ラインによくあげられる。
※より大きいサイズとしてカットGはハイカットミル、みるっこはR-440がありますが、コーヒー器具の販売員の方曰く「モーターの耐久力の違いであって微粉の量はあまり変わらない」とのこと。
※実験前に刃は掃除済み。
<実験方法>
①ナイスカットGの目盛り4(カフェテナンゴのハンドドリップと同じ)を基準に各コーヒーミルで豆50gを挽く。今回はエチオピア(シティロースト ウォッシュト 焙煎から3日目)のものを用意。ちなみに勉強用に別のコーヒー店で購入したものです。
※画像取り忘れにつき粉は違う豆で撮影
②コントロールストッカーの茶こしに粉をいれて蓋をし1分間縦方向に振る(この作業はプロテインシェイカーで慣れたものです)。すると微粉が缶に落ち、茶こしには粒状の粉が残ります。茶こしは直径10cmでフルーティーメッシュと呼ばれる一番網目の大きいものを使用。茶こしに爪楊枝を刺すと先端が1、2mm出るぐらいのメッシュサイズ。より正確な値を出すために計測一回ごとに洗う。
※50gにした理由
・例えば30gの場合「今回の実験結果×3/5」と計算しやすい。実際にはコントロールストッカーを振った時、粉にかかる圧力が変化するため正確な計算とは言い難いが。
・微粉の重量をしっかり取って計算したかったため。
※コントロールストッカーぼろすぎでは?
缶と茶こしの耐久力が弱い。こびりついた微粉を落とすために叩いた結果歪みました。結構お高いので自作したい人は、半分に切ったペットボトルに茶こしと粉をセットし横にゆすってふるいにかけるといいですね。
④微粉の重量を計測。終わり。
<結果>
左からみるっこ、カットG、クラシックミルより微粉を取り除いた粉。画像取り忘れにつき粉は違う豆で撮影。
50gのうち微粉の量は
みるっこ→8.4g
カットG→10.9g
クラシックミル→8.8g
選別前の状態では手挽きが最も微粉が多く見えたのだが結果は異なるものだった。
ただし選別後の粉の大きさの安定具合は「みるっこ>カットG>クラシックミル」。カットGの性能の高さはこの点に由来しているかもしれない。
ちなみに微妙な差ではあるが、カットGとクラシックミルの粉が鋭利な断面であるのに対し、みるっこはやや曲線だった。おそらく先ほどの画像で見せた刃の形状が関係していると思われる。
<実験について>
・本来、より正確な数字を出すためには、メッシュ目盛別、焙煎度合別でこの作業を繰り返し行う必要がある。ただ、それにはもう少し費用と時間が必要であって小島には厳しいのです。
・必ずしも「電動>手挽き」ではない。安すぎるミルは電動でも手挽きでも粒度が安定しない。また、ミルによって細挽き向け粗挽き向けがある。細挽きにすぐれたミルでもその性質から粗めの目盛にした時には、微粉の量が他製品に比べ増える。また時間があるときに細挽き向け粗挽き向けの具体的な製品を紹介できればなあと思います。そういえば今日は刃の種類については解説していないですね。
<最後に‥‥ 結局“ハンドドリップ”ではどんなミルがいいの?>
万単位の予算があるのであれば、みるっこかカットGなどの電動ミルがおすすめ。ハイカットミルやR-440などよく飲食店で使用しているものと粒度の安定性はほぼ同じなわけですから。
同じ価格帯で手挽きのゆったりした時間を楽しみたいのであればプジョーやゼッセンハウスが高級ブランドとして有名、最近はコマンダンテもいいですね。
手軽に趣味として始めたいのであれば今回紹介したクラシックミル。安い電動よりもはるかにいい出来です。
お金の使い道に困っている人は井上製作所のリードミル(電動ミル)。これは工場で使われるローラー方式の刃を家庭サイズに小型化したもので、いかに微粉をカットするかという観点で開発されています。
ただし200万ホドしますが。
p.s.
砂と礫の定義というものがあったと思うのですが(粒子のサイズは忘れました‥‥)、微粉にも何か定義があるんですかね
ナイスカットとハイカットはモータ以外に刃も違うようです。
返信削除ハイカットの方はみるっこに近いタイプのようですね。