コーヒーの粉1gで濃度はどれだけ変化するか

11〜13日はスペシャルティコーヒーの大規模イベント「scaj」でした。
前日、新しくできた自分の名刺にはしゃいで父と交換ごっこに興じ
当日もトイザらスに放たれた子どものごとくちょこまかしておりました。
生産国セミナーなどの話はまた次回書くので今日はちょっと箸休め。


『コーヒーの粉1gで濃度はどれだけ変化するか』

まず結論から言ってしまえば
ドリッパーHARIO V60、粉/中細挽き、湯温90℃、抽出方法(湯を注ぎ足すタイミング、量、抽出時間)が同じ時
  粉1gで濃度は約0.1%(TDS)
  抽出量10ccで濃度は約0.1%(TDS)変化します

全部1なのでわかりやすいですね。これを小島システムと名付けます(絶対流行らない!)
例えば
25g 320cc抽出 抽出時間2分40秒 濃度1.50%(TDS)
といったレシピがあるとします。これに1g増やすと濃度は約1.60%減らせば約1.40%になります
以上、今日の実用的な知識でした。特に2種同時淹れで濃度差をなくすor出したい時に重宝する考え方です。
後はこのセオリーを踏まえた最近の濃度に関する考察など
少しマニアックすぎかつまとまりのないお話となります。

そもそも事の発端は生豆2.5kgを焙煎した時のことです。
焼き上がりは重量が8割位まで減少するため約2.0kgになるはず。
しかし、結果は深煎りが2.0kgを下回り中煎りは上回りました…その差は約100gとやや多め。
※今回は焼き豆をハンドピックしたのち計測している。またサンプルが1つだけであることから正しいデータとは言いがたい。

一応今回はこの仮データを元に焙煎豆25gを量ると考えましょう。
すると同じ重量を計測したはずが、深煎りは粉を約1.0g余分に増やさねば中煎りと同量になりません。
冒頭で触れたようにたった1gの増減でも濃度に及ぼす影響は大きいです。
加えて焙煎度合が深くなるほど豆は柔らかく(=成分が抽出されやすく)、大きく膨らんだ形状(=挽いた時に粉の層が厚くなる=成分がより濃く抽出される)と考えれば、中煎り1gを増やした時以上の影響が濃度に現れると言えるでしょう。僕の経験で言えば0.12%以上は濃くなると思います。

せっかくなのでコスタリカ ピエ・サン農園 ホワイトハニー ナショナルウィナーのシティロースト(中煎り、焙煎から1日経過)とフレンチロースト(深煎り、焙煎当日)で濃度を比べました。
◯抽出方法
24g(25g量るつもりが間違えた)、湯温90℃、メッシュサイズ中細挽き(ナイスカットG/3.5番)、抽出時間2分45秒

左がシティ右がフレンチ。照明で色の違いは分かりづらいがフレンチのほうが若干豆が多く見える。
実際の粉の厚さは‥‥‥‥測り忘れました
◯結果
・シティ 抽出時間2分43秒 濃度1.32%(薄い!)
・フレンチ 抽出時間2分47秒 濃度1.43%


予測の0.12%には届きませんでしたが限りなく「1g0.1%ルール」に収束しました。

今回の検証で
・◯◯煎りのレシピをベースに単純な豆の増減だけで他の焙煎度レシピへ転用するのは良くない
・各焙煎度合における無難なレシピをイメージし、それぞれに合わせて豆を増減するべきだ
と基本的なことを痛感するに至りました。
 もっと精査して同じ焙煎度でもより豆の個性に合わせたレシピを考案しなければいけませんね

p.s. たい焼きにまつわる小噺
袋一杯のたい焼きの魅力たるや恐ろしい。
これは帰宅前に少しぐらい食べてもいいのではないだろうか?紙袋内に湿気が充満する前に食べるべきではないだろうか?
誠に遺憾だが、不本意ではあるが戦術的選択により1匹だけいただくことにした。
が、しかし満足気にたい焼きを頬張っているところ通りがかった旧友に見つかった。これだから地元は

たった1本のパンを盗んだことからジャン・バルジャンは頑張るジャンせざるをえなかったように
1匹のたい焼きで小島は窮地に立たされたわけですよ。
さてどうしたものか?2、3会話を交わしながら逡巡した結果、毅然とした態度でたい焼きを捕食し続けることにした。
そうこの姿こそ我々の町のごくありふれた自然な風景なのだと言わんばかりに。

きっとあそこまでふてぶてしくたい焼きを食べた人はあの町で僕ぐらいのものでしょう。
むしろたい焼きを友人と分け合った方がより『レ・ミゼラブル』らしい高潔な選択だったかもしれません。
そもそも食べなければ済む話ではありますがそこは赦しの物語ゆえ致し方ないところです。

p.s.その2
バルジャン→空腹だった姉の子のため
小島→空腹だった自分のため
今後、物を書く機会があればペンネームをヴィクトル優子(ユーゴー)にしようと思います。
もしくは紅式部。

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