20代半ば男、カカオ豆からのチョコ作りに挑戦するも挫折

『(結論)チョコは作らず買うべき』

題名の通り今日はチョコレートをカカオ豆から作るのですが、
その前に一つバレンタインに関する小噺をしたいと思います。
皆さんにとって学生時代のバレンタインはどのようなものだったでしょうか?

女性であれば、
友達との交換が億劫だなぁと思ったり
期間限定のスイーツに胸をおどらせたり
はたまた少女マンガのごとく意中の相手へ向けた手作りチョコにいそしんでいたかもしれません。

僕の場合、中高一貫の男女別学(渡り廊下で校舎が別々)に通っていたため、交流の機会はあまりありませんでした。
案の定、多くの男子生徒にとってバレンタインは凄惨たるイベントのようで
当日は
 これみよがしに(自分で"買った"と思われる)市販のチョコをむさぼる輩が増えたり
 なぜか自販機からココアが売り切れたり
 年に一回の下駄箱掃除に努めたり
 浅ましくも無駄に放課後居残ってみたり
 男同士で交換する奇行に走る者が現れたり
 男女混同の部活で義理チョコの恩恵にあずかる者がいたりと
その生態は様々でした。

とくに最後の人種は、僕が最も嫌悪する部類の輩です。
彼らは例えクッキー1枚、チロルチョコ1個であっても下卑た笑みをうかべて、こうのたまうのです。
「小島はいくつもらったか?」と。
例え僕が
「それは義理チョコではなく、正しくは配給と呼ばれるものだよ。
社交辞令にはしゃぐ自分を痛々しいと思わないのですか?」
と毅然とした態度で反論しても彼らは
「痛々しいのはお前の発言なんだよなぁ。1個は1個なんだよなぁ。
むしろ少ないお小遣いを捻出して作ってくれたということは、実質本命なんだよなぁ。」
とあざけるのです。

1個は1個。民主主義の悪目たる数の暴力は、どうやら学生の1イベントまでも侵食しているようで。
あまりの虚無に僕はブルーハーツの歌詞を思い出しました。弱い者たちが夕暮れさらに弱い者をたたく”

時は流れ大学時代。
サークルやゼミ、バイトと交友関係が広がれば、僕といえどチョコをもらえる機会も増えます。
つとめて自然に振る舞いたかったのですが、結局はしゃぎにはしゃいで呆れられたものです。
「もしかして小島って生まれて初めてチョコ食べたの?」と。文明開化!文明開化!

(閑話休題)
◆   ◆   ◆   ◆   ◆

カカオ豆からチョコ作ろうと思い立ちました。
理由は
 ・サロン・デュ・ショコラに出店して、自分でも作ってみたいと思った(ミーハーですね)
 ・「休日はお菓子とか作っているんですよー」と格好つけたことを言ってみたかった
 ・発酵・焙煎・脱穀などコーヒーと似た作業工程に興味を持った
 ~チョコレートができるまで~
 ①カカオポッドの収穫。中にはカカオ豆がつまっている。カカオ豆の表面はミューシレージでネバネバしている。
 ②自然発酵、乾燥
 ③焙煎
 ④表面に薄い皮があるので脱穀+粉砕。この時にできる小さい片がカカオニブ
 ⑤カカオニブをもっと細かくして練り上げる。他の原料と混ぜる。
 ⑥温度調節して型に流し込む。

カカオ豆から作るキット型の商品もあるみたいなのですが、
豆と砂糖さえあれば事足りると思ったためネットで豆のみ注文。
思うにネットでの買い物って品物届くまでの間がワクワクのピークですよね。
あの頃の僕は、これが地獄の始まりとも知らずに‥‥‥。


ベトナム産の生豆

 
 コーヒー屋なので手網焙煎機「煎り上手」で生豆を焼いてみます。お値段は5000円ほどとそこそこ高め。

 
ひょうたん型で豆が撹拌しやす構造。
材質はアルミで前後の穴から空気を取り込むことで熱効率に優れています。
ふたをはずして洗えるのもうれしいですね。

 
生豆を洗う。7~10回繰り返したらきれいになりました。豆の量は約70g


軽くキッチンペーパーで豆の水気をきって焙煎へ
 
振るとにかく振る。消えそうな線香花火のように燃えているのはチャフ。
序盤、ミューシレージがカラメル化して底にくっつくも気合で振る。
やや手首が疲れてくるが、20~30分頑張って続けると甘いカカオの香りがしてくる。
コーヒー屋だからなどと見栄を張らずオーブンにすべきだったと反省。


焙煎後あら熱がとれたら手で殻をはずす。


まるでモデルが健康のために食べていそうな木の実(語彙力のなさ)。
細かなチャフをざるでふるって落とす。
 
すり鉢で豆をつぶす。これが本当につらい作業でした。
映画『復活の日』(殺人ウイルスにより人類は死滅の危機、未来は南極探検隊に託された。
コロナによって最近再注目されている名作。アマゾンプライムの方はぜひ)
を観ながら行うも本当に終わりが見えません。映画の状況に比べればずっとましですが。


鑑賞後ですらまだこの段階。片栗粉レベルにするのは無理と判断し湯煎へ。
そこそこえげつない量の砂糖と混ぜて練り上げる。
カカオの油分が浮き出て、液状になったら型に流し込んで冷蔵庫で冷やす。

 デデン。あれだけの苦労の結果、できたのはこれだけです。
味はカカオ80%ぐらいのやや強いビターさを感じます。他の人のブログを読むとかなり苦そうな
感想が書いてありますが、チョコをおやつだけでなく健康食としても食べる自分には
あまり気になりませんでした。もちろんミルクチョコ好きの方にはオススメできないですけどね。
 
むしろ問題は食感です。とにかく固い。岩塩や古い乾パンをかじっているみたいです。
やっとかみ砕けたと思いきや角砂糖のようなジャリジャリした味わいが口いっぱいに広がります。
角砂糖なら溶けますが、チョコの場合はそうもいきません。
 
ちなみにココアパウダーをまぶしたような方はコーヒー入り。
7gほど余っていたので濃いショットを作って混ぜてみました。
コーヒーの味はまったくないのですが、パッションフルーツ、カシスなどちょっとお高いチョコに近い酸を
感じられて面白かったです。
 
〇今回学んだ教訓
・チョコは買うべきもの
・女性からの手作りチョコに文句を言うべからず
・小学校の社会科見学で森永の工場見学に連れていかれた理由がわかった。やはり人力は駄目だ。
・市販品の企業努力はすさまじい。特にダースの口どけは異常であることを痛感した。
 
 
カカオ豆あと5~6回分あるのですがどうしましょうかね‥‥‥
 
 


コメント

このブログの人気の投稿

湘南乃風〈純恋歌〉の『おいしいパスタ作ったお前』とは何パスタだったのか考察する

微粉の少ないコーヒーミル選手権

pH計で検証!コーヒーの酸味は抽出でコントロールできるのか?